映画「ストリート・オブ・ファイヤー」でトム・コーディが粋に乗り回す赤のマーキュリー。あの名車、なんと日本にあるんです!
11月15日「ストリート・オブ・ファイヤー」のBlu-ray発売を記念して、マーキュリーをアメリカから買い付けたホットロッド輸入代行業VICTORの北澤さんが、購入までの軌跡を綴ってくださいました。
私とマーキュリーとの出会い
1990年頃だったと思います。
私は50年代のアメリカに憧れ、毎日のように近所のレンタルビデオ店で、それらしい雰囲気のパッケージのビデオを借りては観ていました。1984年公開のストリート オブ ファイヤーとの出会いもその頃です。
映画に出てきたその車(マーキュリー)は、不良グループ(TheRoadmasters)が大勢で乗って登場し、私はその光景に心を奪われてしまいました。結局コーディーに打ちのめされて車を置いて逃げてしまうんですが・・・。それからこの映画に登場する様な車やバイクにいつか乗りたいと思うようになりました。
沢山のアメリカ車やバイクを乗り継ぎ、自分の描いた理想を追いかけているうちに、気が付くと自然とそれらを扱う仕事に携わる事となっていました。
2011年6月にアメリカのバイヤーからカスタムされた1950年式のマーキュリーが売りに出ていると連絡がありました。それは、クーペをカットしてコンバーチブルにしてあり、車趣味の間では邪道なスタイルでした。しかし私は送られた来た写真を見て、これは、映画のマーキュリーだとすぐに気がつきました。そして持っていたDVDを何度も見直して写真と見比べました。
本来は横型のテールライトを縦にし、蛇柄と黒レザーのシート、ハブキャップ等を見て確信しました。一番の特徴であるフロントグリルは無くなっていましたが、私はすぐに購入を決めました。車を製作したのはハリウッドで活躍しているビルダーのエディ・ポール氏で、彼によると2台製作したうちの1台だと判明しました。彼は劇中の他の車やバイクの手配、そして本物のアウトローバイカー達の手配もしたそうです。
車の持ち主(奥様)の話では、お亡くなりになった旦那さんのガレージの遺品整理の一つで、整理の代行をしていた質屋さんによると、彼女も映画に出た車とは聞いていたようだが、興味が無く内容については詳しくは知らないとの事でした。
数枚の書類と共に車が日本へ届き、私はさらに確信しました。書類の中にはユニバーサルスタジオとこの映画のプロデューサーのジョエル・シルバー氏との売買契約書の写しとピンクスリップ(車検証)が含まれました。そしてトランクに入っていた紙筒の中からはオリジナルポスターが出てきました。
また、車輌のドア、トランク、ボンネット等の一つ一つに固有の番号が付けられていて、映画製作に詳しい方に聞いたところ、セット番号が付けられていたことも判明しました。撮影の際それらを外し、機材を付けて撮影した後もとに戻すためのものだという事でした。
この車は私がずっと所有しているつもりでいましたが、私にとってとても貴重なもので乗り回す訳にもいかず、保管場所も狭く限られていた為、2015年この映画のファンの方に熱望され手放すこととなりました。
彼は国内で映画館を所有しており、将来そちらを改装して展示する予定だそうです。今、コーディーのマーキュリーは都内の倉庫でその時を静かに待っています。展示されることが決まりましたら、またご報告させて頂きます。
北澤さん、とっても貴重お話をありがとうございました!
マイケルにMercuryが日本にあることを伝えると、この車の思い出を少しだけ話してくれましたので、ご覧ください。